個別案件詳細
薪 燃料システム

二酸化炭素濃度の増加による地球規模の温暖化 に警鐘が叩かれるようになっ た昨今
こりゃなんとかしないとなぁ。・・・なんてのは、副次的なもので、ただ、ここのとこ化石燃料の高騰が
目に余るためなんとかならんかな?といった観点から、薪に注目してみたわけです。
いや、あるじゃない。只な燃料が!!んで、蓋をあけてみれば、嬉しいおまけ付きだし。

御存知の通り、木を燃やすと、大量の煙とともに二酸化炭素や窒素を放出しますが、その放出される二酸化炭素は、
木が成長する過程で大気中の二酸化炭素から吸い取ったものに由来しているので、結論として地球上の
二酸化炭素の濃度は変化しないといったカーボンニュートラルの概念が当てはまりまして結果、二酸化炭素濃度
をあげない、バイオマス(生物体量)燃料って、ちょっとかっこいい名前っぽく聞こえるようになるわけです。
しかも、伐採した根本に樹を植えたり、脇芽が伸びてくれば又炭素を吸収して薪燃料を作ってくれる
という10年、20年周期での再生・再吸収性も持っています。(化石燃料の場合は何千万年、何億年単位のサイクル)
・・・まぁ実際、伐採や、運搬に化石燃料が使われると完全なカーボンニュートラルって訳にはいかないですが、
それでも、限りなくカーボンニュートラルに近い燃料って事で、これを使わない手はないな!となり、
システム導入に思い至ったわけです。


☆システム要件
本課題は薪燃料を利用した、炊事、暖房等の 熱エネルギーを有効利用する 為の技能習得を
主な目的としている。
実施内容は、携帯竈による土釜炊飯、薪ストーブでの暖房、の2種とし、
システム構築から運用シミュレーションまでを段階的に進めていくものとする。
また、浴室給湯や石窯・土竈については、この期間にノウハウを蓄積し、本番に備えることとする。

習得したい技能として、以下を重点的に意識しながら課題を進めていく。
・薪の入手ルートの開拓
・消費量の把握と燃費効率
・チェーンソーの取り扱い(伐採・玉切り程度)
・作薪(斧・ナタの取り扱い)
・薪ストーブの設計・設置(煙突配管含む)
・防火設備の設計・施工
・快適運用
・石窯・土竈設計
・薪ボイラーの設計



☆システム設計
炊飯システム
 シミュレーション用に携帯竈を作成する。
  材料:七輪、五徳
 本土竈の設計と施工実験
  材料:赤土、石灰、稲藁、木っ端、新聞紙

暖房システム
 薪ストーブの設置、運用
 選定:
  形状:解放式、輻射式、対流式
  燃焼:触媒方式、非触媒方式(1次燃焼、2次・3次燃焼)
  の中から、予算の都合上、輻射式で非触媒2次燃焼方式のストーブを選択。
 設置位置:
  1階リビング東南の角。床補強後900mm×900mmで床面に耐熱レンガを敷設
  壁面とは、20mmの空気層を設けて耐熱レンガにて1,000mmの高さの壁を作成。
  煙突は、2階上部壁面まで貫通させ、2階壁面で外に逃し屋根上まで伸ばす。
  これにより、2階についても暖房効果が期待できる。
 予算:150,000円以下
 材料:
  薪ストーブ:HONMA制薪ストーブ HTC-50TX     = 65,000 @68750
  煙突:120π900mm直管5本             1,100*5  =  5,500 @920
     120π450mm直管1本               780*1  =    780 @660
     120π700mm〜1100mm伸縮管2本 3,550*2  =  7,100 @3350
     120π90度曲がり管1本           810*1  =    810 @680
     120πT型継手(フタ付き)1個   1,100*1  =  1,100 @910
     120πダンパー管1個     & nbsp;    6,500*1  =  6,500 @6000
     120πH型煙突先1個     & nbsp;    3,000*1  =  3,000 @1500
     120π固定リング11個     & nbsp;      380*11 =  4,180 @300
     熱反射L1個                    3,150*1  =  3,150 @2460
     熱反射S1個                    2,940*1  =  2,940 @2250
     600mm固定足3組     & nbsp;           790*3  =  2,370 @590
     固定用自在足2本     & nbsp;          680*2  =  1,360 @550
     120π330×330@150mm眼鏡石1個9,800*1  =  9,800 @7960
     120π眼鏡石カバー1組     & nbsp;  3,780*1  =  3,780 @3100
     断熱材1個                     2,100*1  =  2,100 @1630
  耐熱レンガ:230mm×110mm×60mm
     床面:960mm×960mm=4×8=32個
     側面:960mm×960mm=4×8=32個
     の計64個と予備8個、合計72個   150*72 = 10,800
  床材:耐火ボード1枚・コンパネ1枚                3,000
  その他:耐火モルタル(気硬性)キャスター材   =  3,000



☆システム構築
炊 飯システム
   携帯竈の構築。別途ここで紹介したように、七輪を利用して、携帯竈を作成。
暖房シ ステム
 2012年12月:
 ここまで進めて予算が不足する事態となり、今期は凍結する事に変更。
 来期、予算があれば解凍し、再構築に臨むものとする。
 ん〜っ、ザンネン!!!ってか断念か(笑

 2013年12月:
材料発注
 今回は、当初設計を見直し、コスト、作業においての簡便化を図った。主に、煙突配管の部分で、1階壁面を貫通させ
 屋外立ち上げ配管とした。
 
 煙突材としては経120mmの、900mm直管を5本、450mm直管を1本、掃除口付きTを1個、90度Lを1個、600mm伸縮直管を1本、
 H型傘を1個、ダンパーを1個。締め付け金具を10個、300mm伸縮脚を1組、600mm脚を6組、900mm脚を1組、
 壁貫通材として、防水ALCメガネ石(130PIEx330x100)、
 本体は予定通り、HONMA制薪ストーブ HTC-50TX
 をそれぞれ最安値で発注した。
 
 本体以外は、直送してもらえたが、ストーブの直送は別途莫大な人件費がかかるようになってしまったので、
 近隣にある配送業者の集配局留めとしてもらい、軽トラにて受け取りに行った。本体重量は、100Kgを超える為、
 屋内までの搬入用の経路や、人員等、事前に準備しておかないと、途方に暮れることになりかねない。
 普通の人間が独力だけで済ます場合は、リフトやコロの準備など、段取りを入念にしておく必要がありそうだ。

遮熱床・遮熱癖の構築
耐火壁
 床面の遮熱については、遮熱床サイズより一回り大きく1×3建材で枠組みを作成し、
 底面側にビニールシートを貼った後床に配置。
 枠内に9mmのコンパネを敷いた上に耐火ボードを敷いた。その上に細めの砂を
 15mm均等に敷き均した所に、半平耐熱レンガ(230×110×30)を敷いていく。
 丁度インターロッキングを敷いていく要領と同様となる。レンガ間の隙間も細め砂を
 掃き入れる。枠自体は、敷き詰める面積より、20mmづつ程度広く作ってあるので、
 枠とレンガの間に余剰の砂を押し詰め、その上に遮熱癖を積むときに利用した
 耐火モルタルの余りを入れ固めて仕上げとした。
 遮熱壁は、既存の石膏ボード壁から、40mm程離して面として、耐火レンガ(230×110×60)
 を千鳥に積み上げ、目地を耐火モルタルで結着して仕上げた。

壁面貫通工
 ストーブの形状より、遮熱床の左右芯にあわせ、天井面より350mm下を芯として、500mm正方に内壁(石膏ボード)を繰り抜く
 (実際には、現状にあわせて開口部を決めたので、間柱と窓の間でメガネ石の芯が合うように設置できる形であればよい)
 、同様に壁構造となっているコンパネを400mm正方にくり抜く。メガネ石を設置できるよう、木枠を作成して、間柱間に、
 固定する。メガネ石の中心を出し、外壁(防火サイディング)に150mmの真円を開口してからメガネ石を枠に嵌め込み、外壁面
 に密着させて完了。

本体設置
設置 本体の移 動を考え、内装、外装含め、重量のあ る部品を一端外し、15Kg程減量させてから、
 作業を開始する。但し、納品時に分離されていた、4本の脚だけは、本体に接続してから、
 設置作業を行った。
 壁面の開口芯と、本体の排煙口芯を合わせ、遮熱癖より300mm程離した位置にストーブを
 設置できるように脚のいち辺りに余った床用レンガ4枚を敷いた上に本体を配置。
 位置的な微調整をして完了。
 取り外した部品を元通りに取り付ける。さらに開口扉用の取っ手等を取り付け仕上げる。


煙突配管
煙突配管 本体排煙 口にダンパーを挿し 600mm〜900mm伸縮煙突を挿し、450mm直管、90度L、900mm直管を
 順につなげていき仮配管をする。煙突に合わせ、本体位置を微調整し、立上り管と横引き管を脚で固定。
 立ち上がりは、壁に600mmの脚で固定。固定位置は、間柱間隔に合わせてちゃんとビスが効く状態に。
 横引きは、天井に伸縮脚で釣る形に固定。丁度天井の骨材のいちに合わせたので、ちゃんとビスが
 効くようにできた。ここで気をつけたのは、屋外への横引きは、室内側を若干高めに、外側を若干低めに
 勾配をつけておくとで、煙突からの漏水が起こらないようにしてみた。
 屋外に出て、900mmの直管を4本つなげ、天辺に煙突用H傘を挿し込む。いずれも、煙突の継ぎ目が
 目立たないよう、揃うように注意して、接続。各繋ぎ目には、締め付け金具を付け、強風などで破損
 しないようにケア。横引き管に掃除口付きTを接続してから、立上り管を一気に接続。風がないときに
 やるのが無難であろう。
 全て接続すると流石に重くなるので、横引き管を外壁に釣り上げ固定。立ち上がりも900mm程の
 高さで壁に固定。
 煙突は、2階の屋根より高くする必要があるので、この高さにしたのだが、2階軒をかわすため、軒下での固定は、900mm
 の脚を使い、軒と雨樋をかわすように取り付けた。自ずと、煙突は、上に上がるに連れ壁との隙間が大きくなるように、
 壁からは、5度位の角度がついた状態となる。但し、正面から見たときの垂直については、下げふり、遠くから計測して
 もらい、指示をもらいながら、他の脚を固定していった。がたつき、フラつきが無いことを確認し、最後に、メガネ石と
 煙突との隙間に、耐火モルタルを刷り込んだ。その上から、外壁と同じ程度の厚さに防水モルタルをのせ、仕上げをした。



☆システム運用
燃料用薪の確保
 枝おろし材の確保
 チェンソーによる玉切り→幅350mm〜400mm程度
 薪割り→1年以上の乾燥が必要。
 薪棚の設置

炊飯システム
 土釜による炊飯を行う。約20分で炊き上がるので、燃料消費量としては、紙一切、割り箸10本、
 焚付5本、薪10本程度となる。
 基本的に休日に炊飯を行い、余剰分は都度小分け冷凍保存し、平日に消費するようにしている。
 ガスや、電気の消費量は幾分減らせるが、目に見えるほどの効果はない。
 ただし、炊飯器では出せない美味しさを得ることができる。
 薪での炊飯の為、土釜は煤だらけになるので、洗浄時余計に水を消費してしまう。
 実際の手順としては、火にかけ、徐々に煮立たせる。煮立ったら(泡が立つ)火勢を弱め、4分〜5分
 煮続けた上、釜を火から下ろし、台の上に置いて蒸らす為に約10分待機。で完成。
 直ぐに食べる場合はお米をそっと掬って茶碗に盛るのが美味しい。

ストーブの慣らし運転
 導入初期からガンガン火を焚くと、急に高温に晒される事によって、ボディーの鋳鉄に罅が入ったり、耐久力が低くなる
 らしく、状態が落ち着くまで慣らし運転が必要との事。この慣らし、初期はもちろんの事、シーズンの初めにもやっといた
 方がより長持ちするとか。
 やり方は簡単。火を焚いて、上部温度を200度程度に安定させて3時間程運転→さます を2〜3回繰り返せばよいらしい。
 早速試運転を兼ねて慣らしを始めたのだが・・・30分程で、本体に変化が!!
 と言うのも、新品の慣らしの場合、付着している耐熱塗料がまだ安定していないため、加熱によって、塗料から臭い
 煙が立ちのぼるという通過儀礼を受けなければならないようだ。
 たまらず、家の窓全てを開放して、運転を継続したが。。。そのため、薪ストーブの暖かさってのは、あまり感じられず
 終いとなった。運転後、一端常温まで冷やすのだけど、これがなかなか冷えてくれない。それでもまだ本体は素直に冷え
 てくれるのだが、遮熱癖としている耐熱煉瓦はストーブからの輻射熱を完璧に蓄熱してくれまして、それがなかなかに
 冷えてはくれない状態になっている。(なので、消火後も予熱で暫く温かいのが部屋中続く)
 慣らし運転2回め以降は、塗装面も落ち着き、煙も臭いも一切出ずに、問題なく行うことができた。
 家も、人間も、じんわり、芯からあたたまる心地よさを実感することができた。

ストーブの通常運転
 まず、燃焼室に溜まっている灰を受け皿に落とし、受け皿から灰を取り出す。取り出した灰は、バケツなどにためておく。
 受け皿を戻したら、ダンバーを開き、一次燃焼用の空気取り入れ口を全て全開にして燃焼室に乾燥させた薪を井桁に組み、
 中央に、紙くずを入れ、細い枝や、割り箸等を紙くずの上に立てかける。
 割り箸なら、5〜6本位かな。細い枝や、薪割り時に発生した木っ端を細かくしたものでも、10本程度か。
 割り箸1本を半分の長さに折り、先っぽにライターで火を付けて、ある程度燃えてきたら、井桁の間から中央の紙くずに
 火を移して窓を閉めればOK。乾燥していれば、メラメラ燃え出す。ある程度火勢が増したら、親指位の薪を何本か入れる。
 井桁や、太めの枝に炎が移ったら、暫く様子をみて、更に太めの薪を2本程追加する。この段階で、2次燃焼用の吸気口を
 開けると、空気が吹きつけられ綺麗な二次燃焼が目視できる。後から入れた薪の火勢が弱まってきたら、後は普通サイズ
 の薪をくべていけば良い。あとは、このままだと火勢が強くなりすぎるので、4つある1次燃焼用の空気口を、2つ程閉ざす。
 さらなる微調整は、残った空気口の開閉度合いで。大体太めの薪、2本で30分程度火勢を保てる状態にしておくのが良い。
 1時間も火を見ていると部屋が温まりだし、3時間位から、家の半分位がホカホカに。ただ、4時間目位からは、ストーブの
 側だと暑いくらいになるので、火勢を弱めたり、他の部屋を開けて冷気を取り込んだりして調整するのがよいかな。
 消火については、自然鎮火させるのが燃焼室を綺麗に保てるから良いのだけど、急に消火したいときは、全ての空気口を
 塞ぎ、ダンパーを下ろせば、5分程で消すことができる。ただし、これをやると、燃焼室内は、消し炭だらけの状態になる。

ストーブの熱利用
すとーぶ 

ストーブの恩恵は、暖房のみにあらず。天板に大きめな薬缶を置くいても30分位で煮立つし、
 天板の上にステン製の脚付き油きりを置けば、その上で餅もやければ、トーストも出来る。
 フライパンを置けば、目玉焼きや、ウインナーの炒め物等、相当使い勝手がよい。
 そんな中でも一番適しているのは、煮物かな。長時間の煮物も一切ガスは消費しないし、なにより
 直火ではないので、むらのない火の通り方にすることができる。ぶり大根、ポトフ、シチュー、ガラ出汁抽出等
 詳細な効果計算は未だ行えないが、導入後、灯油や、ガスの消費が激減したのは間違いない。
 現に、運用後半月経つが、灯油の消費量は、8Lに満たないものとなっている。



ストーブ実運用 初年度
 暖房パワーは十分ではあるが、効果が出るまでに時間がかかる為、一人暮らしのサラリーマンの場合、通勤前の早朝暖房には
 向かない。
 前夜の蓄熱が残っていて、ほんのり暖かいこともあるが、やはり通勤前は石油ストーブを1時間程度運転する事になる。
 帰宅後については、帰宅時間があまり遅くなく、手前でご飯を作るような時は、薪ストーブを運転することにしている。
 火を点けてから、下ごしらえをしている間には、火力は十分になっているので、そのまま調理。食事を摂って風呂に入って
 いる間に、暖房効果も得られた上、火勢は、熾状態になっている。寝床に行かない場合は、更に薪を足して暖をとるもよし、
 暫く熾火の明滅を眺めるもよし。といった感じでやっている。
 一方、休暇の場合、普段出来ない分、朝から思いのたけ、薪ストーブを利用する。ただ、晴れている日は、10時まで火を
 入れておくと、部屋中暑くなってしまうぐらいなので、9時には、熾になるように調整しているし、外出予定に合わせて
 の運用を心がけている。
 あとは、週末1時間程度、翌週分の薪割りを行う必要が出来た。これは、今年度の薪運用を念頭に入れていなかったため、
 シーズン前に薪割りを行えなかった結果でとなる。来シーズンは、秋口までに薪割りを終わらせられるよう、予定を
 たてることにしている。

薪の確保
 あと4〜5年分はアテがある。というのも、本家に備蓄がタップリとあるわけだ。一昨年、じい様があちらに発ってからは、
 誰も薪を使う人がいなく。思わぬ遺産を受け継いだ訳。さらに、土地の周りに生えていた防風林や、梅林の古木等、
 一寸づつ整理するっちゅう事で、毎年何本か伐採していて、そいつらを玉切りにしてせっせと物置に保管しているから。
 薪は2年乾燥物が一番良いとかなんとか聞くし、丁度サイクルとして、あと3年ぐらいは、毎年伐採することになるはず
 なので。
 伐採した木は、250mm位に玉切りして、適当に納屋に積んでおき、古い物から、軽トラで自宅の薪棚に運びこむ。
 玉切りした木は、直径150mm以上の場合、適度の大きさに和斧で割っていく。これもなれるとちゃんと割れるようになるかな。
 玉切りの太さとしては、直径500mm位の根本から50mm位の枝先まで。一番でかい輪切りを80mm四方程度に割るのは、けっこう
 手間が掛かるがそれだけで、5時間分位の燃料になる。最近は、木を見ると灯油やガスボンベに見えるようになってきた。







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